NPO法人マザーシップ 代表
医療法人社団正裕会 理事長
井上レディスクリニック 院長
リボーンレディスクリニック 理事長
井上 裕子(いのうえ ゆうこ)
マンモグラフィー検診は痛くない、怖くない!
最近は有名になったピンクリボン。でも乳がん検診にどんな方法があり、どの検査方法が有効か?はまだまだ認知されていないように感じます。乳がん検 診に行かない人の理由に、「マンモグラフィーは痛いと聞いたから」「乳がんと診断されたら怖いから!!」というのが多いです。医師の私からすると、検診し ないのがもっともっと怖い。外来で出会った乳がん患者さんの多くは、自分でしこりを見つけたとか、乳頭から血性の分泌物が出るという症状があって見つかっ た乳がんでした。当然、検診で全く症状のないうちに見つかった乳がんより、少しだけ進んだ乳がんです。自己チェックはしていたのにという患者さんもいま す。
検診には3つあります。1つ目は月1回の自己チェック、2つ目はマンモグラフィー、乳房専用のレントゲン検査、3つ目はエコー、超音波検査 です。それぞれ乳がん発見には有用な検査ですが、特徴を理解してほしいのです。マンモグラフィーは2枚のプラスチック板でおっぱいを圧迫して伸ばして左右 2枚ずつ計4枚撮影します。1枚が約5秒、一息の我慢です。今は技師さんのほとんどが女性で、認定を持っていて上手ですから、思ったほど痛くありません! 皆さんレントゲン被爆の心配をしますが、私たちが地球上で自然に浴びている自然放射線の1年分よりもはるかに微量で、毎年検診しても健康被害はありませ ん。この検査は両方の乳房の比較や、過去のデータとの比較が可能です。しかし50歳以下の閉経前の女性のおっぱいは乳腺組織が多く、レントゲンでは全体が 乳腺の重なりによって白く写るため、白く写る乳がんの腫瘤や小さい乳がんは見つけにくいのです。特に20、30、40代のママ世代の乳がんはマンモグラ フィーでは20~30%は写らないので診断できません。乳がんにはいろんなタイプがあります。マンモグラフィーは触診では気づかない、しこりのない初期の がんで石灰化(チョークの粉のようなもの)を伴うタイプのがんの発見には有効です。エコー検査は、触診ではまだ判らないような腫瘤を見つけることも可能で す。ゼリーを塗って7センチくらいのプローベをおっぱいに当てます。多少くすぐったい人もいますが、痛みはありません。のう胞や乳腺繊維腺腫など若年の女 性によく見られる良性病変の発見に有効です。
お勧めは1年に1回画像診断。20代はエコー、30、40、50代はエコー併用マンモグラフィー。企業や自治体も経済危機で、検診に当てる 費用はさまざま。自分のおっぱいは自分で守るのが私の願いです。外来でこの10数年、乳がんと診断宣告をした悔しさ、悲しさ。毎日、患者の数だけ乳がん検 診していますか?毎年ですよね?どんな方法で?と問いかけています。本当に怖いのは、検診に行かない事、検診方法を知らない事です。
こうのとり裕子ドクターより