〜災害レポート〜4月22日
コラム執筆者

NPO法人マザーシップ 代表
医療法人社団正裕会 理事長
井上レディスクリニック  院長
リボーンレディスクリニック 理事長

井上 裕子(いのうえ ゆうこ)

私は珍しく週末から風邪を引き咳きこんでいました。医者の不養生とはこれです。先月、診療所の隣に引っ越したので、生活は全く公私が一緒。ナース コールも届く敷地内なので、携帯電話とナースコール用子機を常に首から下げています。最近、東京も余震の大きいのがあり不安です。ナースは余震の 度にヘルメットをかぶり、患者さんのお部屋に走るのですが、患者さんから「震度3だから大丈夫!」と言われたりします。管理者の私は常に「想定さ れるリスクと対応」について考え込んでいます。たぶん震度3?と想定せずに避難の体制をと叫び続けています。幸い手術中にはまだ余震はなしです。

地震から40日余り。報道される現場の映像に悲しみや痛み、勇気や希望も感じながら日々を過ごしながら考え込んでいます。「自分に何が出来るの か?」。義捐金と支援金もかなり支払ました。節電ももちろん。産科医療はそれなりに必死の現場でしたが、東京電力の現場の社員の方の決死の作業に 比べれば、数段も幸せです。福島や茨木から来た妊婦さんもいます。心優しくサポートして行こうと思います。

地震が起きてすぐ、私が理事に入れて頂いている「女性医療ネットワーク」では、会員に国境にない医師団の会長がいるので、直ちに支援物資・薬品な どを車に積んで現場に行きました。この組織はスポンサーも多く、すごい行動力で支援物資・資金も集め、女性の立場からの復旧・復興を支援するメー ルでの情報交換が活発です。そこで問題になったのが、最初の頃から、避難所のおける女性の環境やセクハラ事件の対応、阪神大震災の頃も本当は大き な問題だったレイプ事件などに対する対策を叫んで行動しています。命を取りとめた次に起こるであろう事象や事件に対して必死で考えています。参考 になるかもしれないリンクを送りますね。

マミサミでもブザーを提供するとのアイデア。大いに賛成です。実は私、5月の連休に仙台の伊藤さんの所に行って、子供を亡くした母親の「グリーフケア、傾聴」を出来ないかと考えていました。4月11日の大き な余震の連発から、スタッフに院長である限り、院内を留守にすべきでないと言われ、暫くは断念しています。産科医の私に出来る、お母さん達への、 精神的サポートを考えています。命は救命されても、これからの原発の恐怖や、地震・津波の記憶、大きな余震の恐怖、これからの生活などストレスで 心身共に体調を壊す人はこれから計り知れないくらい沢山おられます。

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